3  福 島  諭   [ system programming / sound processing ]

     
- Stage Setting & System -





Alto Saxophone奏者を中心に小型のスピーカと中型のスピーカを図のように配置する。図の6つのスピーカに割り振られている[1]、[2]、[3]の数字にはそれぞれ3つのbluesが対応しており、1つのスピーカから出力される音は1つのbluesを加工したものに限られる、とする。

 今回3つのbluesのkeyはC、B♭、Fと指定があるが、それらがどのスピーカに対応させられるかについては厳密な指定はない。しかし、上図のようにスピーカを配置し、もしスピーカ[1]、[2]、[3]に対してbluesを[C]、[B♭]、[F]に対応させたなら、[1]のスピーカからは[C]のkeyのbluesを鳴らすこと以外は許されず、[2]からは[B♭]、[3]からは[F]のbluesが対応して鳴り、演奏中に変更もされない。この厳密な約束は、記録映像を編集する際の一貫性を維持する目的とも関係したが、様々な配慮と興味から初演時に決められたことだった。

 楽曲の序盤の数分間は3つの小型のスピーカからのみ音が出力される。出力音は同時に2つ以上のスピーカから鳴らされることはなく、周期的な切り替えによって構成される。そのため3カ所から音が一定方向に回るような聴こえ方となる。数分後、徐々に小型のスピーカから中型のスピーカに音を推移させていくが、そこではスピーカの特性による音質の変化と同時に、音の回転方向の逆転も起こる。この逆転はスピーカの配置を上図のようにしたために生じるものであることは分かっていただけると思う。

福島 諭